2026年10月18日 6 分で読めます

銀行・金融向けWorld IDを発表:AI時代における企業と顧客の安全性を確保

ラスベガスで開催されたMoney20/20において、Worldの共同創業者Alex Blaniaが銀行・金融向けWorld IDを発表しました。本ソリューションは複数の技術で構成されており、すでに提供を開始しています。銀行・金融機関は、社内システムから顧客向けシステム、AIエージェントとのやり取りに至るまで、AI時代に求められる安全性を確保できます。

銀行・金融向けWorld IDの導入により、決済や売買、顧客からの依頼、重要なビデオ通話に至るまで、AI時代に求められる安全性をより確実に担保できます。基盤には、人間であることの証明、本人がその場にいることの証明、年齢や国籍などの証明といった、暗号技術によって検証可能な証明を採用しています。初期のデザインパートナーとして、Bain Capital、OpenExchange、Outtake、Pantera Capital、VanEck Fundsが本技術を活用しています。

AI時代に不可欠な基盤となる人間証明

インターネットおよびそこで提供される多くのサービスは、人間同士がやり取りすることを前提に設計されてきました。しかし、この前提が揺らいでいます。買い物や取引、コミュニケーション、創作を自律的に行うAIエージェントが急増しており、将来的にはオンライン上で人間の数を上回る可能性もあります。現在、インターネットにおいて信頼は最も希少かつ価値の高い資源となりつつあります。

AIが変える銀行・金融における不正

AI時代に求められる安全性の確保は、銀行・金融業界において特に重要です。AIを用いて生成された合成メディアやディープフェイクは、最も高度なシステムをも欺き、決済を承認させるほど精巧になっています。さらに、最先端のAI企業が個人向けAIエージェントの提供を相次いで開始しています。これに伴い、消費者と金融機関の双方にとって、新たな疑問や課題、機会が生じています。

銀行業務や資産運用をはじめとする金融サービスでは、オンラインでのやり取りに機密性の高い情報や重大な金融上の判断が伴う場合があり、こうしたリスクは特に大きくなります。

2024年初頭、エンジニアリング企業Arupの従業員が、ビデオ会議の後に約2,560万米ドルを送金しました。この会議では、その従業員以外の参加者が全員ディープフェイクでした。同年後半には、米国財務省の金融犯罪取締ネットワークが、犯罪者が口座開設時の審査を通過するためにディープフェイクの写真や動画を使用していると警告しました。

米国におけるAIを用いた不正の被害額は、2023年に123億米ドル、2027年までに400億米ドルに達すると推計

Deloitteの予測によると、米国におけるAIを用いた不正の被害額は、2023年の推計123億米ドルから、2027年までに400億米ドルに達する可能性があります。

銀行・金融機関には、機密性の高いやり取りを誰が行っているかを確認しつつ、収集・保管する個人データを最小限に抑えることが一層求められています。World IDは、この2つの要請の両立を支援します。

銀行・金融向けWorld ID

銀行・金融向けWorld IDは、社内外のオンラインでのやり取りにおいて、相手に関する重要な事実を確認する手段を組織に提供することを目的としています。この手段は量子コンピューターに対する安全性を備えており、新たな個人情報の収集や、その保管・保護を必要としません。確認できる事実はユースケースによって異なり、AIではなく一人の人間であること、本人がその場にいること、年齢や国籍などが対象です。

銀行・金融向けWorld IDは、銀行・金融機関とその顧客に人間であることの証明を提供します。Bain Capital、OpenExchange、Outtake、Pantera Capital、VanEck Fundsがデザインパートナーとして参画しています。本ソリューションには、World IDアプリ、World ID for Agents、World ID for Zoomが含まれます。

World IDアプリ:銀行・金融サービス向けの3つの証明

現在150か国以上のApp StoreおよびGoogle Playでダウンロード可能なWorld IDアプリは、暗号技術を用いた次の3種類の証明を提供しています。

  • 人間証明では、Orbで一度認証するだけで、AIではなく一人の人間であることを証明できます。現在はニューヨーク証券取引所にもOrbが設置されており、誰でも簡単に人間証明を取得できます。
  • 本人がその場にいることの証明では、スマートフォンで短時間のライブネス確認を行うことで、その時点で本人がいることを証明できます。
  • 年齢・国籍などの証明では、政府発行の本人確認書類をもとに、国籍や一定の年齢以上であることなどの情報を確認できます。開示されるのは、確認に必要な情報のみです。

World ID:インターネット全体で利用できる、人間であることの証明

World ID:インターネット全体で利用できる、人間であることの証明
証明証明を提示する場面証明の取得方法プライバシー保護
人間証明

影響の大きい操作

Orbプライバシー保護
本人がその場にいることの証明

日常的な操作

セルフィープライバシー保護
年齢や国籍などの証明

年齢または国籍による制限がある場面

政府発行の本人確認書類プライバシー保護

金融機関はこれらの証明を活用し、顧客や取引先が実在する人間であることや、国籍や年齢などの事実を確認できます。書類の収集や、その他の個人を特定できる情報の保管は不要です。こうした確認は、顧客の来店時、多額の送金時、口座開設時といった場面で実施できます。この技術の導入により、顧客に高い信頼性を備えた銀行サービスを提供できます。たとえば、ACH送金や電信送金の承認を実在する人間に紐づけることができます。また、アカウント復旧時にも同様の紐づけを必須にすることで、乗っ取りを防止できます。

AIエージェント向けWorld IDの仕組み

World IDは、AgentKitを通じてAIエージェントにも対応しています。AgentKitは、自律型のAIエージェントがWorld ID証明を利用できるようにする開発者向けツール群で、現在はベータ版です。AgentKitでは、個人が保有する証明の一部をAIエージェントに委任できます。これにより、AIエージェントは本人に代わって取引を行い、実在する人間の指示に基づいて行動していることを証明できます。その際、本人に関する個人情報は開示されません。AgentKitにより、開発者は人間からAIエージェントへの証明の委任を容易に実装できます。

AIエージェントが担う金融関連の処理が増えるにつれ、委任された証明がベストプラクティスとなる可能性があります。消費者保護をはじめとするコンプライアンス要件への対応が必要な金融サービスでは、特にその可能性が高まります。

World ID for Zoom:重要な会議の参加者が人間であることを認証

World ID for Zoomは、AIではなく実在する一人の人間がその場にいることを証明することで、機密性の高い重要な会話を保護するよう設計されています。本連携では、画面の向こうにいる人物が人間として認証されていることを、暗号技術を用いて確認します。確認後は、その人物にヒューマンバッジを付与し、会議の参加者全員に表示します。仕組みは次のとおりです。

  • 認証は一度のみ。参加者は、OrbでWorld IDの認証を完了し、World IDアプリを自身のZoomアカウントと連携します。
  • 会議中に認証。会議への参加時に、World ID for ZoomがWorld IDアプリとその場で撮影したセルフィーを用いて、画面の向こうの人物が、アカウントに連携されたOrb認証済みの人物と同一かを照合します。認証が完了すると、その参加者の映像にヒューマンバッジが表示されます。Zoomは、一連の処理において個人情報を一切受け取りません。
  • ルールを設定。近日中に、会議のホストは参加者に対し、入室前にZoomの待機室で「本人がその場にいることの証明」による認証を求めることが可能になります。このほか、参加者は誰でも会議中に認証を求めることができます。

人間であることの証明は実在する人間のネットワークの基盤であり、1,800万人以上が保持しています。World IDの導入をご検討の金融機関は、[email protected]までお問い合わせください。

実在する人間のネットワークに参加しましょう。

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