Worldの基本戦略:The Simple Plan
2026年6月9日 10 分で読めます 投稿者:World財団

実在する人間のネットワーク、第3フェーズ

人間であることの証明から現実世界での活用へ

6年以上前、Worldは、AGI(汎用人工知能)が世界を変えるという前提のもと、AIによるパラダイムシフトの恩恵をすべての人が受けられるようにするインフラが必要だという考えから設立されました。

AIエージェントの能力が急速に高まるなか、オンライン上のやり取りの信頼性や社会の安定性に、根本的な課題が生まれています。人間であることを証明する技術の必要性は、これまでになく明確になっています。Worldは、高度なAIの時代に人々の力を引き出し、人間の主体性を最大限に高めるために構築されました。Worldは、プライバシー保護型の人間証明に加え、ウォレット(World App)、人間証明インフラ(World ID)、人間証明アプリ(World IDアプリ)を展開しています。これまでにWorldは1,800万件を超える人間認証情報を発行し、World IDは世界中で4億5,000万回以上利用されています。

Worldの基本戦略

Worldは創設以来、基本戦略(The Simple Plan)という枠組みに沿って運営されてきました。インターネットはAIによって大きく変化しましたが、この5つのフェーズは変わっていません。

  1. 1.

    プライバシーを守る人間証明を構築する

  2. 2.

    トークンを通じてネットワークを立ち上げる

  3. 3.

    十分な規模と初期ユーティリティを実現する

  4. 4.

    ユーティリティを拡大し、分散化を進める

  5. 5.

    グローバル規模へ拡大し、AGIの恩恵をすべての人に届ける

フェーズ1:プライバシーを守る人間証明を構築する

ここ数年、WorldはWorld IDの設計、開発、展開を進めてきました。World IDは、プライバシー保護を最優先し、データを最小限に抑えるという原則に基づいて構築された、プライバシー保護型の人間証明プロトコルです。現在は第4世代へと進化し、企業システム、一般ユーザー向けプラットフォーム、エージェントワークフロー全体で利用できるよう、サポートと機能が拡張されています。

プロトコルのアップグレードに合わせて登場したWorld IDアプリでは、さまざまなアプリやサービス、AIエージェントなどで使う人間証明を一か所で管理できます。人間証明をインターネット全体で利用できるようになり、新たなサービスや体験の可能性が広がります。

フェーズ2:トークンを通じてネットワークを立ち上げる

実在する人間のネットワークを立ち上げ、成長の基盤を築くため、WorldはWLDを発行しました。WLDは、Worldネットワークへの参加と長期的な連携を支えるトークンです。ローンチ以降、World IDを認証した約1,600万人がWLDを受け取りました。また、Worldネットワークへの参加を通じて、ユーザー向け配布や招待特典として、合計9億WLD以上が配布されています。

フェーズ3:十分な規模と初期ユーティリティを実現する

Worldは現在、基本戦略の第3フェーズへ移行しています。

  1. 1.

    プライバシーを守る人間証明を構築する

  2. 2.

    トークンを通じてネットワークを立ち上げる

  3. 3.

    十分な規模と初期ユーティリティを実現する

  4. 4.

    ユーティリティを拡大し、分散化を進める

  5. 5.

    グローバル規模へ拡大し、AGIの恩恵をすべての人に届ける

Worldが第3フェーズへ移行する背景には、2つの大きな要因があります。ひとつは高度なAIシステムやAIエージェントの急速な普及、もうひとつは、大規模な導入や統合に対応する企業向けインフラとして、World ID 4.0がリリースされたことです。第3フェーズでは、成長の原動力も、トークンによる特典や報酬から、実際の利用価値へと移行します。これにより、ネットワークの構築・拡大の方法や、それを支えるチームのあり方も大きく変わります。

実在する人間のネットワークの活用を広げる

AIシステムの進化に伴い、人間証明技術は、インターネットに欠かせないインフラになりつつあります。

Worldは、企業一般ユーザーAIエージェントという3つの主要分野で、人間証明の活用を広げることに注力しています。各分野で、Worldはすでに業界リーダーと協力しています。

Lift Offイベントで発表された企業・組織

導入を加速するため、Worldは今後の機会やニーズに合わせて、専任チームの体制を整えています。人間証明が重要となる3つの領域(企業、一般ユーザー、AIエージェント)に特化したパートナーシップ・統合チームに加え、Deep Faceのような人間証明ベースの製品を必要とする組織に届けるための商用チームも新設しています。

企業向けWorld ID

企業はすでに、サイバーセキュリティや認証基盤に多くの投資を行っています。既存のシステムでは、本人確認情報やアクセス権限、行動パターンを確認できますが、「やり取りしている相手は本当に本人なのか、それともなりすましなのか」という根本的な問いには答えられないことが少なくありません。World IDはこの課題の解決を目指しています。Deep FaceをはじめとするWorldの人間証明技術を企業システムに組み込むことで、オンライン上の重要なやり取りの信頼性を高めることができます。

WorldはZoom、Docusign、Outtakeなどとの連携を通じて、ライブコミュニケーションやドキュメント署名など、人間の確認が特に重要となるオンライン上のやり取りに、信頼性をもたらしています。

AIによるなりすましや詐欺、合成ID攻撃が増え続けるなか、これらの機能はますます重要になっています。2025年には、半数を超える組織がディープフェイクやAI音声詐欺による金銭的損失を報告しており、1件あたりの平均損失額は28万ドルを超え、約5組織に1組織が50万ドル以上の損失を出しています。Deloitteによると、米国だけでも、生成AIを悪用した詐欺による損失は2023年の123億ドルから、2027年には400億ドルまで増加すると予測されています。

一般ユーザー向けWorld ID

日常的に使われる多くのオンラインサービスで、信頼性が揺らぎつつあります。Worldは、信頼性や公平性が特に重要となるプラットフォームやサービス、たとえばマッチングアプリ、オンラインゲーム、イベントチケット販売などでの人間証明の導入に注力しています。

WorldはTinderと提携し、プロフィールの相手が実在する人間であることを、プライバシーを保ちながら確認できる方法を提供しています。この連携はすでに利用可能で、人間証明技術を活用した大規模な一般ユーザー向け導入事例のひとつです。

さらにWorldは、アーティストがWorld ID認証済みユーザー向けにチケットを確保できるようにするツール、Concert Kitを発表しました。Concert Kitは、熱心なファンがチケットを購入する前にボットに買い占められてしまうという、ライブエンターテインメント業界の根強い課題に対応します。アーティストはすでにConcert Kitのパイロット導入を始めており、Thirty Seconds to Marsは2027年のツアーで、World ID認証済みユーザー向けにチケットの一部を確保する予定です。

一方で、Redditのような一般ユーザー向けプラットフォームも、プライバシーを重視した人間証明手段の導入や、自動化された可能性があるアカウントへのWorld IDの活用に関心を示しています。

AIエージェント向けWorld ID

インターネット上の活動は、人間主導からエージェント主導へと急速に移行しています。AIエージェントやエージェントブラウザからのトラフィックは、2025年に前年比7,851%増加しました。これは、1京件を超えるオンライン上のやり取りを分析した結果に基づくものです。こうしたAIエージェントにより、正当なWebトラフィックと悪意あるトラフィックの区別は曖昧になりつつあります。現在では、エージェントがユーザーの代わりに人間と同じインターフェースを使い、ウェブサイトの閲覧、ワークフローの実行、購入、デジタルシステムとのやり取りを行えるようになっています。

インターネット上で本人確認や認証を支える仕組みは、このような変化を想定して設計されたものではありません。 この変化に対応するため、WorldはAgentKitを導入しました。AgentKitは、エージェントの委任、人間による確認、エージェントコマースという3つの主要機能を通じて、エージェントワークフローに人間証明を取り入れます。これにより開発者は、認証済みの人間に代わってエージェントが操作したり、重要なアクションには検証可能な人間の承認を求めたりする仕組みを構築し、オンライン上の新たな信頼の基準を築けるようになります。

WorldとTools For Humanityのチームは、Okta、Vercel、Shopify、Coinbase、Exa、Browserbaseなどの組織と連携し、人間証明がAI時代の次世代システムをどのように支えられるかを模索しています。

ユーティリティを軸とした成長への転換

ネットワーク全体でユーティリティが高まるなか、Worldは、現実世界での利用価値とWorldネットワークへの参加を重視する成長モデルへと移行しています。ネットワークの初期段階では、トークンによる特典が普及と参加を促すうえで重要な役割を果たしました。今後は、World IDによって実現される製品やサービス、体験のユーティリティが、成長の主な原動力となります。

例えば、認証済みのWorld IDを持つ対象ユーザーは、Tinder Boostや、パートナー連携を通じて提供される限定特典を受け取れるようになります。

ユーティリティと密度を重視した運用体制への移行

Worldが基本戦略の第3フェーズへ移行するなか、ネットワークの運用体制も、ユーティリティが最も高い分野を支える方向へ変化しています。これは、人間証明関連の製品やサービスがすでに早期に普及している主要国に事業を集中することを意味します。今後の展開では、地域的な広がりよりも、密度、企業向け統合、ユーティリティの高い環境を優先します。

米国では、サンフランシスコとニューヨークに重点を置きます。サンフランシスコには、次世代のオンライン技術を形作るテクノロジーの先駆的な利用者が集まっています。ニューヨークには、Deep FaceやConcert Kitのような製品によって人間証明がすぐに活用される可能性のある金融機関や一般消費者向けブランドが集まっています。米国外では、イギリス、ドイツ、日本、韓国に重点を置きます。まずは一部の都市で密度を高め、体験の有用性を確認したうえで、そこから拡大していく戦略です。

この地理的な重点化に合わせて、ハードウェアや展開方法も進化しています。次世代Orbはセルフ認証型となり、新しい形状や設置形態で提供されます。一部はパートナービジネス内に直接設置される予定です。Worldは2026年末までに、全Orbの95%をセルフ認証モデルへ移行することを目指しています。このセルフ認証モデルにより効率性が高まり、より迅速なスケール拡大が可能になります。また、持ち運びやすさの向上、単価の低減、さらなる拡張性を実現するため、新たな形状や設置形態の開発も続けています。

この移行の一環として、リソースをより効率的に活用するため、Worldおよび関連組織は、重点国以外での現地オペレーションを縮小します。これらの変更は、グローバルの運用スタッフや、それを支えるチームのメンバーにも影響します。彼らの取り組みによって、Worldネットワークは初期段階から築かれ、人間証明技術は世界中の何千万もの人々へと広がりました。その貢献に心から感謝します。

World IDの手数料と収益モデル

World ID 4.0では、認証情報発行者とWorld IDネットワークが、人間証明技術の利用をWorld ID手数料として収益化できるようになります。想定されるモデルでは、World IDを利用するアプリケーションが手数料を支払い、エンドユーザーは無料で利用できます。

最も差し迫った収益化の機会は、企業向けセキュリティ分野にあります。Lift OffでのZoom、Okta、Docusignの発表からも、高い保証レベルの人間証明に対する企業の強い需要が明らかになりました。ディープフェイク技術が広く普及し、企業に甚大な損失をもたらすなか、World IDやDeep Faceのような技術は、企業がセキュリティを強化するうえで不可欠なツールになりつつあります。Zoomはこの分野の先駆者であり、すでにWorldプロジェクトと提携して、World IDのDeep Face技術をミーティング製品に直接統合しています。今後6カ月以内に、Zoomは企業向けに、ZoomのISVプラットフォーム経由でDeep Faceを提供する予定です。これは、World ID手数料が初期に発生する大きな機会となります。

企業向けセキュリティ用途以外にも、World IDは、ボットや偽アカウント、大規模な詐欺が問題となりやすいさまざまな業界で活用できます。たとえば、ソーシャルメディアマッチングアプリチケット販売オンラインゲーム広告・クリエイター経済AIエージェントと生成AI、EC、銀行・決済、ブロックチェーン、行政サービス、ギグエコノミー、旅行・ホスピタリティなどです。これらの業界は年間で数兆ドル規模の収益を生み出しており、World ID手数料を通じた長期的な収益機会にもつながります。

フェーズ4:ユーティリティを拡大し、分散化を進める

ユーティリティと普及が拡大するにつれて、ガバナンスやインフラ、Worldネットワークへの参加は、より広いコミュニティによる所有と参加へと移行していきます。

分散化は引き続き重要なテーマです。人間証明が人々、企業、政府から信頼されるインフラとなるためには、単一の主体に依存しないことが必要だからです。Worldは今後、より多くのプロトコルをオープンソース化し、開発者や認証情報発行者が独立して構築できるようにしていきます。

フェーズ5:グローバル規模へ拡大し、AGIの恩恵をすべての人に届ける

基本戦略の最終フェーズは、AIシステムの恩恵をすべての人に届けることです。AIが経済全体を変革するなか、人間証明は、信頼を守り、参加を可能にし、高度な知能があふれる社会で人間を見分けるためのインフラとして、ますます重要になります。

基本戦略の各フェーズは、次のフェーズへの土台となります。

実在する人間のネットワーク

相手が実在する人間だと分かることで、オンライン上の体験はより良いものになります。実在する人間のネットワークは現在、1,800万人以上の認証済みユーザーに広がり、World IDは4億5,000万回以上利用されています。World ID、企業・一般ユーザー向け連携の拡大、エージェントシステムへの対応強化により、人間証明は次世代インターネットの基盤となりつつあります。

World IDの詳細については、World IDページ開発者向けドキュメントWorldホワイトペーパーをご覧ください。

実在する人間のネットワークに参加しましょう。

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