
FacebookでReactの開発に携わったTom Occhino氏は、現在Vercelの最高製品責任者(CPO)として、Reactがフロントエンドにもたらした変革をバックエンドでも実現する道を模索しています。Vercelは「Lift Off」イベントで、World IDを基盤とするWorldの「人間であることの証明」をVercel Workflowsに統合することを発表しました。これにより開発者は、どのようなエージェントワークフローにも、わずか1行のコードで検証可能な「人間であることの証明」を組み込めます。本記事では、Tom氏へのインタビューを通じて、Workflowsの概要と「人間であることの証明」との親和性を紹介します。あわせて、人間の意思を検証できる仕組みが本番ソフトウェアの標準になるとみられる理由についても聞きました。
VercelでWorkflowsをリリースされたばかりですね。Workflowsとはどのようなものですか?また、エージェントエコシステムにとってなぜ重要なのでしょうか?

Workflowsは、長時間動作する耐久性の高いTypeScriptアプリを構築する、最も簡単な方法です。Reactの開発に関わっていた立場なので贔屓目かもしれませんが、私はWorkflowsを「バックエンドにおけるReact」だと考えています。
Reactの特長のひとつは、複雑なフロントエンドのビジネスロジックを再利用可能なコンポーネントにカプセル化できることです。コンポーネントをnpmに公開すれば、どこでもインポートしてすぐ使えます。UIコンポーネントライブラリと同じ仕組みです。Workflowsは、これと同じことをバックエンドのロジックで可能にします。ただし、バックエンドの方が困難です。非同期処理や長時間実行されるタスク、ステップ間の長い待機が発生するからです。たとえば、新規ユーザーの登録から30日後にメールキャンペーンを送りたいとします。以前は、リトライや状態復元をすべて自前で実装する必要がありました。Workflowsなら、わずか1行のコードで済みます。
このアーキテクチャの魅力は、高度なバックエンド機能を、これまでのUIコンポーネントと同じ感覚で扱えるようになることです。パッケージ化してnpmに公開すれば、誰でもその機能を自分のアプリに取り込めます。
VercelがWorkflowsで目指す世界において、人間であることの証明はなぜ相性が良いのでしょうか?
他の認証方式は、クライアント側またはサーバー側で同期的に処理し、すぐに結果を返せます。一方人間であることの証明では、人間が実際に行動しなければなりません。QRコードをスキャンし、操作を行う必要がある。つまり非同期のタスクです。これを手作業で構築するとなると、リトライ、待機、複雑なオーケストレーションの実装が必要になります。
この用途にはWorkflowsが適しています。Workflowsは、人間が実在することの証明、またはエージェントが認証済みの人間に代わって行動していることの証明に必要な一連の処理を、1行のコードで実行できるようにするものです。必要な操作は関数呼び出し1回のみです。npmからパッケージをインポートして呼び出すだけで利用できます。
開発者にとって、これは大きな負担の軽減につながります。永続性、リトライ、状態管理、リカバリーを意識する必要はなく、考えるべきことは「人間であることを証明する」という一点だけです。この組み合わせは非常に相性が良く、私たちがこのユースケースに大きな可能性を感じた理由の1つでもあります。この方式は、今後のソフトウェア開発における標準的なパターンになり得ます。
開発者がワークフローにヒューマン・イン・ザ・ループのステップを追加するには、どうすれば良いのでしょうか?
npmパッケージをインポートし、ワークフローのステップ内に関数呼び出しを1行記述します。具体的には、人間であることの証明をawaitするだけです。ステップは証明が返ってくるまで待機状態となり、どれだけ時間がかかっても問題ありません。タイムアウトの設定もリトライ処理の実装も不要です。awaitを記述するだけで、関数は再入可能として動作します。証明が返ってきた時点で、使い慣れたTypeScriptコードのまま処理を続行できます。なお、Pythonサポートは現在ベータ版として提供されています。
エージェント駆動型開発が加速するなかで、人間の意思を検証可能な形で確認することは、プロダクションワークフローの標準になっていくと思いますか?
そう思います。導入が先行するのは、不正利用を受けやすく、誰が利用し、誰が操作しているのかを把握しておく必要がある、特に重要度の高い処理です。実際、エージェントによるアクセスはインターネット全体ですでに急増しており、Vercel上でも同じことが起きています。
ただし、コーディングエージェントを利用する開発者を含め、大半の開発者は「この機能に限っては、操作しているのが人間であることを検証したい」と指定できる手段を求めるようになると考えられます。読み取りをはじめとするリスクの低い操作については、極力負担のない設計とすれば十分です。一方、重要度が高く、影響が大きく、高い信頼性が求められる操作においては、こうした検証が標準として定着しなければなりません。それによって初めて、インターネットが依然として人間のものであり、通信の相手を確認できるという確信が保たれます。その実現を担うのが、Vercel Workflowsと人間証明です。詳細は、ヒューマン・イン・ザ・ループのドキュメントでVercel Workflowsと人間証明の連携をご参照ください。
Vercel WorkflowsとWorld IDの利用を開始する
エージェントにヒューマン・イン・ザ・ループの検証を組み込んでみませんか?World IDはworld.org/world-idから無料で取得できます。連携の詳細についてはdocs.world.orgをご覧ください。
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